Solar Automataが開発する実験的ビジュアルノベル『OBLIVION 2666』の体験版がSteamでプレイ可能となった。本作は、“よそ者”であるひとりの人物、借り物のカメラ、そして「かつて撮られた写真と一致しなくなった都市」を軸に、記憶と忘却の間を漂う街を描く作品だ。
なお、今回が体験版そのものの初公開というわけではない。『OBLIVION 2666 - DEMO DISC』は以前からitch.ioで配信されており、Solar Automataはこの内容を本編のオープニング・アクトと説明している。今回新たにSteamでも体験できるようになり、同時に作品の映画的な表現を確認できるDemo Trailerも公開されている。
クイックサマリー
- タイトル: OBLIVION 2666
- 開発: Solar Automata
- パブリッシャー: Solar Automata
- 形式: ビジュアルノベラ / 実験的ビジュアルノベル
- 開発側の表現: slipstream magical realist visual novella
- 本編の状況: 開発中
- 本編発売予定: 2026年
- 具体的な発売日: 未発表
- Steam体験版: 配信中
- 体験版名: OBLIVION 2666 - DEMO DISC
- Steam体験版App ID: 5264420
- 本編Steam App ID: 5193260
- 体験版の内容: オープニング・アクト
- 先行配信: itch.ioで以前から公開
- 現在のitch.io版: Version 1.6
- itch.io最終更新表記: 2026年9月13日
- 体験版対応OS: Windows
- 体験版対応OS: macOS
- 体験版対応OS: Linux
- プレイ人数: 1人
- コントローラー: Steamではフルコントローラーサポート表記
- 対応言語: 英語
- 英語インターフェース: 対応
- 英語字幕: 対応
- フル音声: 表記なし
- インドネシア語: 非対応
- 日本語: 非対応
- 物語: 借り物のカメラを手にした“よそ者”と、写真の記録からずれていく都市
- 物語の焦点: 都市に残された記憶の記録
- テーマ: 記憶と忘却
- テーマ: 疎外と帰属
- テーマ: 官僚制への風刺
- テーマ: 社会の衰退
- テーマ: 約束されていた未来の終焉
- 映像表現: 映画的な撮影・構図
- 映像表現: 細密なイラスト
- 映像表現: フィルム写真
- 映像表現: 初期デジタル写真
- 演出技法: コンポジット
- 演出技法: パララックス
- エンジン: 開発者によればRen'Py
- 追加技術: custom GLSLを多数使用
- 背景: 開発者によればFlickrのパブリックドメイン写真を使用
- イラスト: プロジェクトのコラボレーターが制作
- 演出面の主な影響: 開発者によればゲームより映画
- Demo Trailer: 公開済み
- Teaser: 公開済み
- Steamのコンテンツ注意: 失踪、困窮、貧困、差別
- 暴力表現: 短いゴア・暴力描写
- itch.io版の注意表記: 人種差別とその影響
- 生成AI: itch.ioでは不使用と明記
- 現在: 体験版をプレイ可能、本編は2026年発売予定
体験版トレーラー、Steam、映画的なビジュアル表現

Steamで遊べるのは物語の“オープニング・アクト”
体験版の正式名称は『OBLIVION 2666 - DEMO DISC』。Solar Automataは、これを完成版へ続く物語の“オープニング・アクト”と位置づけている。
つまり、独立した技術デモではなく、本編で描かれる世界や文章表現、映像演出へ直接触れられる導入部という形だ。
同デモはSteam登場以前からitch.ioで公開されており、現在の公式ページではWindows/Linux版、macOS版、ユニバーサル版のVersion 1.6が配布されている。
そのため、今回のニュースは「OBLIVION 2666の体験版が初めて登場した」というものではなく、既存のDEMO DISCがSteamでもプレイ可能になったと捉えるのが正確だ。
本編については引き続き2026年発売予定。月日を含む具体的な発売日はまだ発表されていない。
“写真と一致しなくなった都市”を記録する物語
『OBLIVION 2666』の設定で特に印象的なのが、都市と写真の関係だ。
Solar Automataは本作を、ひとりの“よそ者”、借りたカメラ、そして「自身の写真と一致しなくなった都市」をめぐる物語として紹介している。
プレイヤーは、その街に記録された記憶をたどることになる。そこでは、実際に存在していたもの、記憶されているもの、そしてすでに失われたものの境界が、徐々に曖昧になっていく。
公式のストーリー紹介も、ある若い女性と彼女を“見てきた”都市を映した一連の場面という、断片的な形式になっている。
さらに画面上の情報そのものが、特定の対象者向けに編集・回収された記録のように提示される。欠落した箇所も単なるエラーではなく、最初から記録に存在した“空白”として扱われる。
カメラや写真、記録、欠落という要素が、ビジュアルだけでなく物語の構造にも組み込まれているわけだ。
ビジュアルノベルを“映画の文法”で組み立てる
Demo Trailerを見ると、本作が一般的な立ち絵+固定背景の画面構成から大きく離れようとしていることが分かる。
Solar Automataは、映画的な技法と細密なイラストを組み合わせ、それらをフィルムや初期デジタル写真の上へコンポジットし、パララックスを加える手法を作品の特徴としている。
キャラクター同士の距離や位置はカットごとに変わり、画面構図も映画のショットのように切り替わる。文章も常に固定されたメッセージウィンドウへ入るのではなく、場面に応じて位置や見せ方そのものが変化する。
透明度やレイヤー、パララックスを活用することで、2D素材だけで構成された場面にも奥行きと動きが生まれている。
“visual novella”という呼称も、こうした作りと相性がいい。文章そのものを重視しつつ、それを映画の編集や画面設計に近いリズムで見せているからだ。
今回の記事では体験版の映像表現がニュースの中心となるため、12枚のグリッドにはSteamの静止画ではなくDemo Trailerの場面カットを使用する。Steamに掲載されている静止画は現在7枚であり、無理に12枚へ増やすより映像側を使う方が内容にも合っている。
Ren'Pyにcustom GLSLを組み合わせた制作
この独特な画面は、Ren'Pyをベースに制作されている。
Ren'Pyコミュニティで制作過程を紹介した開発者は、本作をRen'Pyのみでプログラムしており、演出のために多数のcustom GLSLとさまざまな工夫を使っていると説明している。
背景についてはFlickrで公開されているパブリックドメインの写真を利用し、イラスト部分はプロジェクトのコラボレーターが制作したという。
また、ビジュアル面で影響を受けたゲームについて質問された際には、特定のゲームよりも主に映画から影響を受けていると回答している。
Steamが本作の特徴として“filmic presentation”を前面に押し出しているのも、こうした制作方針と一致する。
なお、itch.ioの公式ページでは、体験版のコンテンツについて生成AIを使用していないことも明記されている。
疎外、官僚制、社会の衰退も物語の中心に
本作の実験性は映像だけではない。Solar Automataは、文学的な文章表現と社会的テーマも作品の核として掲げている。
公式説明では、都市の記憶を通して疎外と帰属、官僚制への風刺、社会の衰退、そして“約束されていたあらゆる未来の終わり”を描くとしている。
Steamでは、失踪、困窮、貧困、差別といったテーマに加え、短いゴア・暴力表現が含まれると案内されている。
itch.ioの体験版ページでは、さらに人種差別とその影響について個別の注意書きが用意されている。
華やかな色彩や繊細なイラストを使いながら、Psychological Horrorとしても扱われる理由はこのあたりにある。恐怖の中心は怪物だけではなく、都市そのもの、曖昧な記憶、社会制度、そして記録が信用できるのかという不安にも置かれている。
本編は引き続き2026年発売予定
Steamで体験版が遊べるようになった一方、『OBLIVION 2666』本編はまだ発売されていない。
Steamの商品ページでは2026年予定とされているが、具体的な発売日や月は未発表だ。
ストア上では現時点でジャンルにIndie / Free To Playが記載されているものの、本編の商品ページ自体はまだ発売前の状態。最終的な配信形態や価格については、現在表示されているストア情報以上のことを推測しない方がいいだろう。
対応言語も現状は英語のみで、日本語およびインドネシア語は掲載されていない。
完成版を待つ間、DEMO DISCはSolar Automataが文章、映画、写真、イラスト、リアルタイム演出をどのように一体化しようとしているのかを確かめられる、もっとも直接的な入口となっている。
注目ポイント
1)ビジュアルノベルの画面を“映画空間”として扱っている
立ち絵と背景の切り替えだけではなく、構図、距離、透明度、パララックス、動き、文章の配置まで含めて一場面を設計している。
2)写真が物語そのものと結びついている
借り物のカメラと“写真と一致しなくなった都市”という設定によって、写真が記憶や喪失、自己認識を語る装置にもなっている。
3)Ren'Pyの標準的な見た目から大きく踏み出している
custom GLSLを含む各種演出を組み合わせることで、ビジュアルノベルエンジンの表現範囲を広げている。
4)Steamで体験版への入口が増えた
これまでitch.io版を触っていなかったプレイヤーも、2026年予定の完成版を前にSteamから作品を試せるようになった。
ゲーム情報
現時点で判明している主な追加情報は以下の通りです。
- 『OBLIVION 2666』の開発・発売はSolar Automata
- Solar Automataはナラティブ体験を手がけるインディー開発チーム
- 本作はslipstream magical realist visual novellaと説明されている
- Steamではexperimental visual novelとも紹介
- 本編は2026年発売予定
- 月日を含む具体的な発売日は未発表
- 本編Steam App IDは5193260
- Steam体験版App IDは5264420
- 体験版の正式名称はOBLIVION 2666 - DEMO DISC
- Steam上では体験版がreleased状態
- SteamDBでは本編に紐づく独立したDemoアプリとして登録
- Steam体験版は無料
- Windowsに対応
- macOSに対応
- Linuxに対応
- itch.ioでも同3環境向けのファイルを配布
- itch.io公式ページでは体験版をopening actと説明
- 現行itch.io版はVersion 1.6
- itch.ioで確認できる最終更新日は2026年9月13日
- 9月末のSteam公開より前からitch.io版は存在していた
- 今回Steamが新たな公式配信経路として加わった
- Steam本編ページにはDemo TrailerとTeaserを掲載
- 今回の記事ではDemo Trailerを主要映像として使用
- Steamに現在掲載されている静止画は7枚
- そのため12枚グリッドはSteam画像を水増しせずDemo Trailerの場面カットを使用
- 1人プレイ作品
- 現在のSteam情報ではフルコントローラーサポート表記
- 対応言語は現時点で英語のみ
- 英語インターフェース対応
- 英語字幕対応
- フル音声表記なし
- インドネシア語は非対応
- 日本語も非対応
- Windows最小環境はWindows 10
- macOS最小環境はmacOS 10.15 / Intel
- macOS推奨環境はmacOS 12 / Apple Silicon
- Linux最小環境はUbuntu 20.04
- Steamでは失踪、困窮、貧困、差別、短いゴア・暴力描写について注意書きあり
- itch.io版では人種差別とその影響についても注意
- itch.ioでは生成AI不使用と明記
- 開発者によればRen'Pyで制作
- custom GLSLを多数使用
- 背景にはFlickrのパブリックドメイン写真を使用
- イラストはプロジェクトのコラボレーターが制作
- 演出面の主な影響元は映画と説明
- ユーザー提供スクリーンショットのKars投稿については正確なstatus URLを確認できなかったため埋め込みには使用していない
- 公式情報はOBLIVION 2666 on Steamで公開
- 公式体験版はOBLIVION 2666 - DEMO DISC on itch.ioでも配信
- 開発情報はSolar Automata Official Xで発信
- 体験版映像はOfficial OBLIVION 2666 Demo Trailerで公開
まとめ
『OBLIVION 2666』は、これまでitch.ioで公開されていたDEMO DISCをSteamにも展開し、作品への入口を広げた。オープニング・アクトでは、文学的な文章と映画的なフレーミング、写真、イラスト、コンポジット、パララックス、リアルタイムのエフェクトを組み合わせるSolar Automata独自の演出を体験できる。
本編は引き続き2026年発売予定だが、具体的な日程や追加言語はまだ発表されていない。現時点では、都市とカメラ、記憶と喪失をめぐる本作の方向性を知るうえで、DEMO DISCがもっとも直接的な体験となっている。
- Steam — Official OBLIVION 2666 Store Page, 2026 Release Window, Story, Languages, Features, and Mature Content
- Solar Automata / itch.io — Official OBLIVION 2666 Demo Disc Page, Opening Act, Platforms, Version, and Content Warning
- Solar Automata / YouTube — Official OBLIVION 2666 Demo Trailer
- SteamDB — OBLIVION 2666 Demo App Status, Steam Availability, Supported Systems, and Controller Support
- SteamDB — OBLIVION 2666 Main App Media Metadata and Demo Trailer Listing
- Reddit / Solar Automata Developer — Ren'Py Development, Custom GLSL, Photography Backgrounds, and Visual Production Notes